LED が光る回路のしくみ — 閉回路・LED の向き・抵抗の計算(オームの法則)
ElecLab の第 1 章「はじめての回路」で遊ぶことを、図と計算でまとめたページです。電池と LED をつないでも光らないのはなぜか、LED に抵抗が要るのはなぜか、抵抗の値はどう決めるのかを、ゲームと同じ回路計算の結果で説明します。
1. 電流は「輪」になったときだけ流れる(閉回路)
電池の + 端子から出た電流は、LED や抵抗を通って − 端子にもどります。この通り道がぐるっと一周つながった輪を閉回路(へいかいろ)といいます。輪が 1 か所でも切れていると、電流はどこにも流れません。線が 1 本足りない、線の端が端子に届いていない、というのが「LED が光らない」いちばん多い原因です。
電流は輪を回るあいだに減りません。1 本道の輪なら、電池から出る電流、LED を通る電流、− にもどる電流はどれも同じ大きさです。LED や抵抗を通るたびに下がっていくのは、電流ではなく電圧(電気を押し出すはたらき)のほうです。
1-1 で見るつなぎ方の例
2. LED には向きがある
LED(発光ダイオード)は、決まった向きにしか電流を通さない部品です。回路図では三角の側が +(アノード)、棒の側が −(カソード)で、アノードを電池の + 側に向けてつなぐと光ります。逆向きにつなぐと電流は流れず、壊れていなくても光りません。実物の LED では、ふつう足の長いほうがアノードです。
もうひとつの性質は、光りはじめる電圧(順方向電圧)があることです。赤い LED なら約 2V で、それより低い電圧ではほとんど電流が流れません。ElecLab の赤い LED は、2.0V をこえた分に対して 10Ω の抵抗のようにふるまうモデルで計算しています。たとえば 2.2V の電池に直接つなぐと、(2.2 − 2.0) ÷ 10 = 0.020A、つまり 20 mA が流れます。
3. 電池に直接つなぐと焼ける — 抵抗で電流をしぼる
5V の電池に赤い LED を直接つなぐとどうなるでしょう。光りはじめる 2V をこえた 3V を、LED の中のわずかな抵抗(ElecLab では 10Ω)だけで受け止めることになり、電流は (5 − 2) ÷ 10 = 300 mA にもなります。赤い LED が安全に流せるのは 25 mA くらいまで(ElecLab の上限)なので、その 10 倍以上です。本物の LED なら、あっという間に焼けてしまいます。
そこで、輪の中に抵抗を入れます。抵抗は電気を通しにくくする部品で、向きはありません。直列の輪は 1 本道なので、抵抗を LED の + 側に入れても − 側に入れても、流れる電流は同じです。
1-2 で見るつなぎ方の例
4. 抵抗の値の決め方(オームの法則)
抵抗にかかる電圧 V と、流れる電流 I と、抵抗の大きさ R の間には、次の関係があります。これをオームの法則といいます。
電圧 V = 抵抗 R × 電流 I (I = V ÷ R、R = V ÷ I とも書ける)
LED と抵抗を 1 本道につないだ回路では、電池の電圧から LED の電圧(赤なら約 2V)を引いた残りが抵抗にかかります。だから、流したい電流を決めれば抵抗の値が決まります。
抵抗 R = (電池の電圧 − LED の電圧) ÷ 流したい電流
例: 3V の電池(単 3 電池 2 本)で、赤い LED に 10 mA 流したいとき。R = (3 − 2) ÷ 0.010 = 100Ω です。ElecLab ではこれに LED の中の 10Ω が加わるので、実際の電流は (3 − 2) ÷ (100 + 10) ≈ 9.1 mA になります。mA のまま計算するときは、抵抗を kΩ で書くと桁をまちがえにくくなります(1V ÷ 1kΩ = 1 mA)。
明るさは電流で決まります。ElecLab の赤い LED の目安は次のとおりです(実物の LED は品物ごとに定格がちがうので、データシートで確かめます)。
| LED の電流 | LED のようす |
|---|---|
| 0.1 mA 未満 | 消えている |
| 0.1〜5 mA | うっすら光る |
| 5〜25 mA | 光る(10 mA 以上でしっかり明るい) |
| 25 mA をこえる | 焼ける |
抵抗は、E12 系列(100・120・150・180・220・270・330・390・470・560・680・820Ω…)のような決まった値の並びで売られています。計算した値にちょうどの抵抗がないときは、電流が上限をこえない側(大きいほう)の値を選ぶと安全です。
5. スイッチは輪を切ったりつないだりする
スイッチは輪の途中に入れます。OFF のときは輪が切れて電流が止まり、ON にすると輪がつながって流れます。輪の途中なら、電池の + 側に入れても − 側に入れても働きは同じです。ElecLab では「実行!」で電気を流してから、スイッチを押して ON と OFF を切り替えます。
1-3 で見るつなぎ方の例
よくある誤解
- 電流は LED で使われて、− にもどるころには減っている?
- 減りません。1 本道の輪では、どこでも同じ大きさの電流が流れています。LED や抵抗を通るたびに下がるのは電圧で、そのぶんのエネルギーが光や熱に変わります(電圧は第 4 章で電圧計を使って測ります)。
- 抵抗は LED の + 側に入れないと効かない?
- どちら側でも同じです。直列の輪は 1 本道なので、抵抗が輪のどこにあっても、輪全体の電流が同じように小さくなります。
- 電池の電圧を LED の電圧に近づければ、抵抗はいらない?
- 電池の電圧のわずかな差で電流が大きく変わるので危険です。ElecLab の赤い LED では、2.2V なら 20 mA ですが、2.5V にすると 50 mA になって焼けます。電池の電圧は使っているうちに変わるので、抵抗で電流を決めるのが基本です。
- LED が光らないのは、LED が壊れているから?
- まず、輪が一周つながっているか、LED の向きが合っているかを確かめましょう。逆向きの LED には電流が流れないので、壊れていなくても光りません。電池の電圧が LED の順方向電圧より低いときも光りません。
第 1 章のステージで確かめる
読んだことを、実際に配線して確かめられます。ブラウザだけで、登録なしで遊べます。