分圧回路とプルアップ・プルダウン — 電圧計・可変抵抗・センサーの読み方
ElecLab の第 4 章「電圧を読む」で遊ぶことを、図と計算でまとめたページです。電圧は「2 点の差」であること、抵抗の比で電圧を分ける分圧回路、つまみで電圧を変える可変抵抗、マイコンの入力ピンが HIGH・LOW を読むしくみと、プルアップ・プルダウン抵抗が要る理由、センサーを分圧に入れて温度や明るさを読む方法を説明します。
1. 電圧は 2 点の差 — 電圧計のつなぎ方
電圧は、ある点と別の点の「電気の高さ」の差です。電圧計は、測りたい部品の両はしに並べて(並列に)つなぎます。+(赤)を電池の + に近い側、−(黒)を遠い側へ。逆につなぐと読みがマイナスになります。
電圧計は中の抵抗がとても大きく(ElecLab では 10MΩ。実物のデジタルテスターと同じくらい)、ほとんど電流を流しません。だから、並列につないでも回路の動きはほとんど変わりません。反対に、電圧計を輪の途中に直列に入れてしまうと、10MΩ のせいで電流がほぼ止まり、LED は消えます。
4-1 で見るつなぎ方の例
輪を一周すると、直列の部品の電圧を全部足した値は電池の電圧と等しくなります(キルヒホッフの電圧則)。例: 9V の電池に 1kΩ の抵抗と赤い LED を直列にすると、電流は (9 − 2) ÷ (1000 + 10) ≈ 6.93 mA で、LED には 2.07V、抵抗には 6.93V がかかり、足すと 9.00V です。
2. 分圧回路 — 抵抗の比で電圧を分ける
抵抗を 2 本直列にすると、電池の電圧が抵抗の大きさの比で分かれます。これを分圧といいます。どちらの抵抗にも同じ電流が流れるので、大きい抵抗ほど大きな電圧がかかります。
出力の電圧 = 電池の電圧 × R下 ÷ (R上 + R下)
R上 は電池の + 側、R下 は − 側の抵抗で、出力は 2 本のつなぎ目と − の間の電圧です。図では 3V を 1kΩ と 2kΩ で分けて、1.00V と 2.00V になっています。
4-2 で見るつなぎ方の例
比が同じなら、値の大きさによらず同じ電圧になります。1kΩ と 2kΩ でも 10kΩ と 20kΩ でも、3V なら 2.00V です。違うのは流れる電流で、1kΩ と 2kΩ では 1 mA、10kΩ と 20kΩ では 0.1 mA。値を大きくすると電池の減りは少なくなりますが、出力に何かをつなぐとその影響を受けやすくなります。5V のマイコンの信号を 3.3V の部品に渡すときや、センサーの抵抗の変化を電圧に変えるときに使う回路です。
3. 可変抵抗 — つまみで分圧を変える
可変抵抗(ポテンショメータ)は、両はしの 2 つの端子と、つまみで動く真ん中の端子(ワイパ)を持ちます。ワイパが全体の抵抗を 2 つに分けるので、両はしを電池の + と − につなぐと、ワイパから分圧の電圧を取り出せます。つまみを回すと分け方が変わり、電圧が変わります。
4-3 で見るつなぎ方の例
端とワイパの 2 つの端子だけを使うと、つまみで抵抗の大きさを変えられます(明るさの調節など)。ただし回し切るとほぼ 0Ω になり、LED に電流が流れすぎます。回し切っても電流が上限をこえないように、固定の抵抗を直列に入れておきます。両はしの 2 端子だけを使ったときは、つまみを回しても抵抗は全体の値のまま変わりません。
4-4 で見るつなぎ方の例
4. マイコンの入力ピン — HIGH・LOW・不定
マイコン(Arduino など)の入力ピンは、ピンの電圧を読んで HIGH か LOW かを決めます。ElecLab の入力ピン(5V 動作)は、3.5V 以上で HIGH、1.5V 以下で LOW と読みます(電源電圧の 70% 以上と 30% 以下。CMOS の IC でよく使われる目安です)。その間の電圧は、どちらとも決まりません。
入力ピンには、ほとんど電流が流れません。そのため、どこにもつながっていないピンは電圧が決まらず、まわりの雑音やわずかな漏れ電流で HIGH にも LOW にもなります。これを不定(フローティング)といいます。ElecLab では、マイコンの漏れ電流(最大 ±1µA)でピンの電圧が動く範囲を計算し、その範囲が HIGH か LOW の一方に収まらなければ「不定」と判定します。マイコンの GND を回路の − につなぎ忘れたときも、電圧の基準がないので不定です。
4-5 で見るつなぎ方の例
5. プルアップ抵抗・プルダウン抵抗
ボタンだけを入力ピンにつなぐと、押したときは決まっても、離したときにピンが宙に浮いて不定になります。そこで、抵抗で入力ピンを + か − に「引いて」おきます。− に引くのがプルダウン(離すと LOW、押すと HIGH)、+ に引くのがプルアップ(離すと HIGH、押すと LOW)です。
入力ピンにはほとんど電流が流れないので、抵抗をはさんでもピンの電圧は引いた側の電圧のままです。マイコンではプルアップがよく使われ、中にプルアップ抵抗を持つものも多くあります(Arduino の INPUT_PULLUP など)。
4-6 で見るつなぎ方の例
抵抗の大きさの選び方
プルアップ抵抗が小さすぎると、ボタンを押している間、+ から − へ電流が流れ続けます(5V ÷ 1kΩ = 5 mA、5V ÷ 100kΩ = 0.05 mA)。大きすぎると、漏れ電流による電圧のずれ(1µA × 抵抗)が大きくなり、1MΩ で約 1V、10MΩ では約 10V もずれて、HIGH とも LOW とも言えなくなります。数 kΩ〜数十 kΩ が目安です。
| プルアップ抵抗 | 押している間の電流 | 漏れ電流 1µA での電圧のずれ |
|---|---|---|
| 1kΩ | 5 mA | 0.001V |
| 100kΩ | 0.05 mA | 0.1V |
| 1MΩ | 0.005 mA | 約 1V |
| 10MΩ | 0.0005 mA | 約 10V(不定) |
6. センサーを分圧に入れる — サーミスタと CdS
サーミスタは、温度が上がると抵抗が下がる部品(NTC サーミスタ)です。ElecLab のサーミスタは 25°C で 10kΩ、B 定数 3435K のモデルで、0°C で約 28.7kΩ、25°C で 10kΩ、60°C で約 2.98kΩ になります。
抵抗が変わる部品を固定の抵抗と直列にすると、分圧の電圧が変わるので、温度を電圧として読めます。例: 5V の電池の + 側に 10kΩ、− 側にサーミスタを置くと、つなぎ目の電圧は 0°C で約 3.71V、25°C で 2.50V、60°C で約 1.15V と、温度が上がるほど下がります。上下を入れ替えると、温度が上がるほど電圧が上がる向きになります。
4-7 で見るつなぎ方の例 — 図はサーミスタの性質を見やすくするため、25°C で 1kΩ のものを LED と直列にしています
CdS(光導電セル)は、明るいほど抵抗が下がる部品です。ElecLab の CdS は 10 lux(うす暗い部屋くらい)で 15kΩ で、1 lux で約 75kΩ、100 lux で約 3kΩ、1000 lux で約 0.6kΩ、真っ暗では 1MΩ で止まります。これも分圧に入れると、明るさを電圧で読めます。出力の電圧を入力ピンのしきい値(HIGH 3.5V・LOW 1.5V)と比べれば、「暗くなったら HIGH」のような判定ができます。直列では抵抗の大きいほうに大きな電圧がかかることを思い出して、どちら側に置けばよいか考えてみてください。
4-8 で見るつなぎ方の例 — 図の CdS は、見やすくするため 10 lux で 5kΩ のものです
よくある誤解
- 電圧計は、電流計のように輪の途中(直列)に入れる?
- 電圧計は、測りたい部品の両はしに並列につなぎます。電圧計は中の抵抗がとても大きいので、直列に入れると電流がほぼ止まってしまいます。
- 何もつながっていない入力ピンは LOW(0V)になる?
- なりません。どこにもつながっていない入力は「不定」で、雑音やわずかな漏れ電流で HIGH にも LOW にもなります。プルアップかプルダウンの抵抗で決めておきます。
- 分圧の抵抗は、小さいほど正確な電圧になる?
- 比が同じなら電圧は同じです。小さい値にすると流れる電流(電池の消費)が増え、大きい値にすると出力につないだもの(入力ピンの漏れ電流など)の影響を受けやすくなります。
- 可変抵抗は、両はしの 2 つの端子だけで電圧を変えられる?
- 変えられません。両はしの間の抵抗は、つまみを回しても全体の値のままです。電圧を作るには、真ん中の端子(ワイパ)を使います。
第 4 章のステージで確かめる
読んだことを、実際に配線して確かめられます。ブラウザだけで、登録なしで遊べます。